新疆ウイグル自治区の作家である李娟のエッセイ「我的阿勒泰（私のアルタイ）」を原作とするテレビドラマが最近、好評を博している。遊牧民族の移動生活に関する本及びドラマの描写は活き活きとし、細やかで丁寧だ。新旧の理念の衝突があれば、伝統と現代のライフスタイルの融合もある。

遊牧民族は水と草を追い求めて居所を移す。毎年牧草の成長の周期に基づき、家畜を率いて草原を移動し、千年続く独自の移動文化を形成した。

アルタイの牧民は現在も春夏秋冬の4つの牧場を維持している。2024年のアルタイ地区の春季移動家畜は220万頭以上。

アルタイ地区は古くから「金山銀水」と呼ばれる、新疆の重要な牧畜業エリアの一つだ。地区内には広大な四季の草原があり、アルタイ山脈とジュンガル盆地の間に分布している。

北から南へ、高所から低所へ。地形は白雪が輝く山頂や広大で果てしない森林から徐々に、極地のツンドラや美しい草原へと切り替わり、最後にジュンガル盆地中心の荒野に至る。

長い冬が訪れると家畜が雪に追われ、遠く離れた山間部の「冬の隠れ家」にこもり、牧民が準備した飼葉を食べ春を静かに待つ。春になり草木が蘇ると、南から徐々に北へと移動する新年の移動が始まる。夏になると麓から山に移る。羊の群れは美味しい草を追って北上を続ける。秋風が吹き、草が枯れて黄色になると、移動ルートが再び南に転じ、極寒を避ける宿りに戻る。

四季を通じ牧歌的なアルタイの高山の牧場で、牧民たちは千年続く伝統的な遊牧を受け継いでいる。毎年の春から冬まで、南から北に移り南に戻るという往復で短ければ数十キロ、長ければ千キロ移動する。

カザフ族の牧民である阿達力別克・别爾都木拉提さん一家の600頭の家畜は1カ月前、アルタイ地区福海圏斉干吉迭郷博列克托別村から出発した。囲いがあるトラックに乗り、北東に向かった。一路エルティシ川を渡り、200キロ以上の移動を経て、薩爾布拉克の春の牧場に到着した。

50代の阿達力別克・别爾都木拉提さんは、「昔は移動に1週間はかかったが、今は午前に出発しその日の午後に到着する」と述べた。

牧道や中継所などのインフラの持続的な整備に伴い、阿達力別克・别爾都木拉提さんのように低コストで損失の少ない、効率的な機械化移動方法を選ぶ人が近年増えている。

現地政府は近年、放牧地道路などのインフラへの投資を拡大している。一部の伝統的な古い牧道が道路になり、牧民の移動の利便性が大幅に上がった。さらに牧民の移動ルート上に100カ所以上の「幸福宿場」を建設し、食事、宿泊、シャワー、医療救助などのサービスを提供し、家畜に補給を提供している。

バイク、望遠鏡、トランシーバー。多くの牧民は放牧において新たな設備を利用している。若い世代もネットワークにより外界とのコミュニケーションを増やしている。

90年代生まれの牧民一家の主婦である波塔さんは放牧地の生活を好み、放牧しながらライブ配信と動画編集を行うことが多い。「私はシェアと交流が好きで、家族と共に過ごす毎日が好きだ」

移動中にテントを張り、休憩中にミルクティーと干し肉を食べる。時間がある時は友人たちとフェルトのカーペットを手作りし、現代的なキッチン家電で料理を作り、マイカーでドライブする。彼女の動画では、アルタイの牧場の魅力的な風景、伝統を残しながら変化を拒まない現代的な生活の一コマを見ることができる。

牧民は近年、現地政府による草原の放牧禁止や草原と家畜のバランスといった措置に積極的に協力し、草原の退化を抑えている。草原の植生の回復が顕著だ。

千年の遊牧文化の伝承は、アルタイの独特な文化・観光資源になり、各地の観光客と撮影愛好家を集めている。

「天博克罗地亚国家队赞助商網日本語版（チャイナネット）」2024年5月27日