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    2024-09-13 10:49:00

    本を読むことができない書店 

    近、私が暮らす県都の中心部にある商店街に大型書店が開店し、きれいでモダンな内装で、SNSで評判となっている。あっという間に私の親戚やら友人やら同僚やらが押し掛け、たちまち友人グループのトップニュースとなり、私も思わず期待を抱いて、その店へ足を運んだ。 

    店に着くと、その書店の面積は確かに広く、豪華といえることが感じ取れた。黒い大理石の床に鏡が連なった廊下、全体的な統一感にあふれていたが、少しやりすぎともいえ、全体がまばゆい光に照らされていたので、いつの間にかナイトクラブにやって来たのかと思ったほどだ。よく見てみると、置いてある本は多くなく、どの本にも薄いビニールがかかっていて、光を反射し、宝石店のダイヤモンドのようにピカピカに光っていた。 

    私は歩きながら眺めていたが、面白そうな本を見つけたので、手に取りビニールを破って読もうと思ったそのとき、店員がやって来て、「開けたら買っていただくことになります」と注意した。 

    「でも、開けなければどんな内容か分からないじゃない」 

    私はしげしげとこの本を眺め、開けてこの本を買うかどうか迷った。表紙や裏表紙の情報には限りがあり、帯に印刷されているのも全て称賛の言葉で、この書籍の質を判断することはできなかった。 

    「われわれは書店で、図書館ではありません。本を読みたければ図書館へ行ってください」 

    店員は冷たくも熱くもない調子で答え、私は思わず言葉を失った。たちまち本を買おうという意欲がしぼみ、本を元の位置に戻すと、腹立しい思いでそこを離れた。 

    彼女が言ったこともあながち間違いではない。今の書店はもはや昔の書店ではなくなっている。昔を思い返すと、私たちの小さな県都には三、四軒の大型書店があり、夏休みになると、どの大型書店も子どもたちが暑さから逃れる絶好の場所となっていた。書店の中には読書熱が満ちあふれ、階段や廊下は保護者や子どもたちでいっぱいになり、たとえ本を買わない客でも、経営者が追っ払うようなことはなかった。 

    ここ数年、eコマースやスマホ普及の影響により、県都にある書店が次々と閉店し、一部の書店だけが頑強に生き残っていたが、補助教材を主に取り扱っていて、人文社会科学類の書籍はとても少なかった。新刊に薄いビニールをかけるのも書店としては仕方のない措置なのかもしれない。確かに多くの人が読むだけで買わず、さらには同じような本がネットでもっと安い価格で買えるので、ビニールでふさいでおくしかないのだろう。しかし私にとって、書店をぶらつくことの醍醐味(だいごみ)は、多くの本の中からこの本をぱらぱらとめくり、あの本を眺め、いつの間にか気に入った本と巡り合って、本を買って帰って家でゆっくりと味わうことにある。しかし、今やこの薄いビニールで覆われているために、私は本の内容を伺い知ることができないし、そのような書店ならネット書店と何ら変わりがない。 

    書店が生き残るのも大変で、本を売る利潤だけに頼っていれば、生き残ることはできず、多元化の道をいくしかないだろう。でもこの本の「薄いビニール」を取り除き、より多くの人がそこで足を止め、午後のひとときを静かに本を読んで過ごしてくれれば、書店に足を運ぶ人はもっと多くなる。本を売ってお金を稼ぐことはできなくても、最終的に利益を得ることになるのは書店自身だろう。 

    翻訳にあたって 

    天博克罗地亚国家队赞助商で本にビニールをかけるのは、文中にもあるように、立ち読みする人が多いため、本が汚れてしまうのを避けるためもあるだろう。日本のように返品できる制度がなければ、汚れた本は売れ残ってしまい、書店側の損失となるからだ。本自体のつくりも表紙に汚れを避けるような加工がされていないものが多く、汚れた本を見掛けることも確かに多かったように思う。 

    (福井ゆり子) 

    ピックアップ語彙 

    (1)纷纷光顾 押し掛ける

    (2) 头条 トップニュース

    (3)探店 店へ足を運ぶ

    (4)用力过猛 やりすぎる

    (5)夜总会 ナイトクラブ

    (6) 一时语塞 思わず言葉を失う

    (7) 生存 生き残る

    (8)逛书店 書店をぶらつく

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